老兵はしがみつく
午前中からダバダバと激しくトタン屋根を打つ雨になりました。晴天は束の間でした。夜になるまで一日中の雨でしたので、開店休業状態でした。古書展の目録の締切が迫っていますので、かえって仕事が進んでよかったと強がるのでした。
病を得てから体力的な衰えを感じて出張買取に置いていた軸足を曲げました。すると目録に並べる品に苦労することになります。本を集めるには、店頭での買取、市場での仕入れなど手段は色々ですが、自ら足を運んで引き取ってきたものには及ばないのが常です。
そこで、過去に引き取ってあったものを引っ張り出して、目録を作り出したもののやはり品数が足りません。とうとうお茶を濁すことになりそうです。思えば須賀川の古書ふみくらさんが生前に教えてくれたのは、「古本屋は夢を売る仕事です。夢のある目録に仕上げないといけないよ。」というひと言でした。夢を盛り込めなくなって来ましたのでもう、そろそろ展覧会は辞退しないといけないなと思います。
さて東京都の緊急事態措置はさらに延長されるみたいです。ソロスの家に遊びに行っちゃうほど、世界の富豪たちと通じているミドリのおばさんです。パンデミックに乗じたこの社会変革にどう振る舞えば良いのかを政権以上に理解しているのではないかと勘繰ってしまいます。それほど無意味な自粛要請です。
慈恵医大の大木先生がシルバー民主主義と揶揄していましたが、老人に厚く若者が犠牲になる社会が出現しています。ちょっと前、ある野外イベントで、若者に前を塞がれた初老の男性が「俺たちが若い時は年寄りを大事にしたものだ!どきやがれ!」と前に前に進んできたのを肘を張って止めたことがあります。希少価値というものを知らないのです。平均寿命が60歳に満たない頃は老人は大切にされたでしょう、無事に老いたのは伊達ではありません。人生の智者でもありました。
ところが現代は、無為に時を過ごす老ぼれが街に溢れ、少子高齢化が言われる割には若者が割を食っています。関連死を含めても年間の死亡原因の1%にも満たないコロナ死、そしてそのほとんどが中高齢者である中で、特に子どもにはほぼ無関係な疫病ですが、子どもの生活を極端に制限する結果となっています。子どもには選挙権もありませんので、事実上無視されているのです。現代に希少なのは、将来の社会を担う若者です。バブル時代の資産を持ち越した金と暇のある老ぼれではないはずです。。。