明治のレシピ本を読む

 『家庭應用 洋食五百種』という本があります。手元にあるのは明治四四年の三版、糸綴じの和装、活版印刷です。

 196頁に「アイスクリームの拵へ方」とあります。まだ冷凍庫は無い時代ですよね。

〜先づアイスクリームを拵へるには、氷三分に一分の食鹽を混和することを記憶すべし、亦アイスクリームの器具の無きときには、ブリキ製の茶筒を代用と為し、その中へアイスクリームの原料を入れ、直ちに桶にそのまゝ入れ、右の分量の氷片と食鹽とを加へ、手早く茶筒亦は器具を五分間ほど廻はし、蓋を開けて中の原料を下部より上部へとよくかきまはし、ほどよく凍るまで廻すべし〜

 と、あります。中の原料については以下に、苺、桃、レモン、などなど色々なレシピが紹介されています。漢字には全てルビがふられていますから、誰でも読めますね。何より「〜すべし」とか「〜に供す」とか語尾の語感が小気味良いです。