マグロばっかり

 以前バイト君を雇って店番をお願いしていた頃から通われている方で、もう5年以上でしょうか、ほぼ毎日やって来てオモテのワゴンセールの西村京太郎を購入する方がいます。

 西村京太郎は男女を問わず、特に中高年に人気です。テレビの影響もあるのでしょう、よくリクエストされます。ですから、なるべく数冊はいつもワゴンに入っている様に心がけています。

 さて、そのほぼ毎日くる野球帽のオッサンですが、大抵があるだけごっそりとお帳場に持って来ます。正直、迷惑なのです。

 西村京太郎の著作数と言ったら物凄い数なのはご存知でしょうか。そして大手出版社も心得たもので、同タイトルの作品が、出版元を変えながらグルグルと新刊文庫として出すことで皆で大儲けをしています。

 ですから野球帽のオッサンには、何度となく「前に読んだのと同じのがあるでしょう?」ですとか、「いつも同じじゃ飽きるでしょう?」などと声を掛けたりして来たのです。すると数日は、全部は買わなかったり、他の旅情ミステリー、梓林太郎などを買われたりもします。

 あまり毎日続きますから、来店する2時頃は西村京太郎は引っ込めたりもしました。うちのワゴンは沢山買うとお安くなるシステムですから、出す量を調整したりもしました。勿論、あるだけ買うのは自由ですが、他の方に回らないので少しは遠慮してと言っても、野球帽のオッサンは「どれを読んだかわからないんで」と変わりません。

 ついにはワゴンの価格も改定して、野球帽のオッサンには「あなた様な買い方をされると続かないので、値段を変更させてもらいました」とお話ししたこともありました。以前は1冊100円、5冊買うと300円でしたが、今は内容や状態を高めて、1冊200円、6冊以上で1冊あたり100円です。

 その時は自重されるのですが、その後の振る舞いは価格に関係なく変わりません。毎回それとなくお願いしたり、引っ込めてやり過ごしたり・・・。

 で、今日はとうとう切れました。

 ワゴンにあるだけ10冊以上お帳場にきたので。市場が閉鎖する中、なんとかネットでかき集めて皆さんの外出自粛生活に用意したものを、独り占めにされるのは困るので。

 それでも「どれを読んだかわからないからいいじゃないか!」とか「こっちは客だ!金は出すんだからいいじゃないか!」とか。

 あんた、回転寿司でマグロばっかり食べてんだよ!

 マグロばっかり食べるのは自由だけど、こっちは迷惑してるんだよ!

 と、切れたところで水入り。数冊を抱えた方がお会計にやって来まして、某大学宛の領収書をお願いされました。日を改めて、買取に呼んでくださるそうです。。。

 

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