本の蟲が逝く

 今日はお休みをいただいて、市場に向かいます。古典会はお昼に開場し2時に開札が始まります。こちらを11時に出れば、郵便局に出荷に寄ってもじゅうぶん間に合います。ところが・・・。

 朝の追加注文を確認して、荷作りと思いきや、買取依頼の電話が入りました。落ち着いた丁寧な日本語で、上品なご年配の奥方からです。お話を伺うと、7年前に出張買取に伺った先生のところです。当時は、お亡くなりになられた先生の医学書を中心に専門書を引き受けましたが、奥様の文学はまた別の機会でと、そのままでした。

 今回、引越しを済ませて、思い出された様にご連絡をいただきました。古い美術書の大判を中心にご処分を考えてらっしゃる様で、そこは見合わないことを正直にお話しした上で、なお蔵書を片付けるべきかもう一度考えて頂く事になりました。

 そんな電話を交わすうちに、とうに出掛ける時間を過ぎています。少し焦って東十条駅に向かいましたが、今度は人身事故で動きません。会館に着いたのは1時半になろうかという頃、ざっと見て回りましたが、じっくりと入札するには至りませんでした。地方荷が面白かったし、割と綺麗な和本の山もあったのでちょっと残念でした。

 驚いたのは、何気に声をかけたI書店さんから、B書店のNさんが亡くなられて今日が通夜という事です。組合のご同業がお亡くなりになると、メールやFAXで本部から告知が来るのですが、Nさんはしばらく前に組合から籍を外していたため同報が出なかった様です。

 Nさんとは、はるか30年ほど前に探求書をもとめてお邪魔したのが最初で、自分が本屋になって組合に加入する前後に長老を車で連れて行ったり、、、長老とは若い頃、地方にせどりに行った仲でした。

 「あざぶくん、機械で作った本は商売にならないよ。和本を勉強しなさい。」と言われたものです。本の虫の様な方でした。晩年の蔵書整理で出品されたものは市場を賑わしました。96ですから大大大往生ですよね。取り急ぎ香典をI書店さんに託します。ご冥福をお祈り申し上げます。

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